iPhone・iPadアプリがプライスダウン、そして生まれる品質向上と懸念

2011/07/16

円高ドル安が加速している影響で、日本国内にアカウントのあるユーザーは、iPhoneやiPadのアプリのお値段がぐ~んと下がって、20~30%オフで買えるようになっています。
具体的には、

115円 → 85円
230円 → 170円
350円 → 250円
450円 → 350円
600円 → 450円

といった具合です。
iPhoneアプリの開発指南やアイデア提供もしてきた身として複雑な気持ちではあります。。

この決定は、開発者からすると厳しい状況です。厳しい状況というのは、単に競合が増えるという事ではなく、儲かる開発者と全然儲からなくなる開発者との収益率の格差が広がり、アプリラインナップに影響が出るという事です。

当然ながらアプリ開発を主な事業ドメインにしている人は新たな戦略が必要になってきますし、一部の例外を除いては、こういった状況下で「安易なアイデア」だけで開発に着手するのは難しくなってきます。そもそもコンテンツ開発は特に体力勝負ビジネスをになってはいけないカテゴリーですから、一層練られた戦略あってのスタートアップになってくるでしょう。

こういった「安易なアイデアが許されない」状況は、広く支持される良いアプリが増えてくれるという良い影響と、挑戦的で特定の人に支持されるような新しいアイデアが出にくくなるという良くない影響が出てきます。この良くない影響とは、ソーシャルネットワークを始めとしたWEBレコメンド等に依存する割合が増えてしまうというものです。一見正常で歓迎すべきものに見えますが、実はソーシャルネットワークは“その情報”を利用者する人の情報取捨選択スキルにかなり強く依存する側面があるため、この依存度の上昇と、消費者側の情報取捨選択スキルの上昇のバランスが取れていないと、需要と供給のバランスに誤差が生じてしまいます。この誤差が大きい状態が続くと、「かゆいところに手が届く良いアプリが無くなったなぁ」「作りにくくなってきなぁ」という状況に陥ります。

そしてもう一つ、この需用と供給のバランスに誤差を生み出す大きな要因があります。
それは、開発者の多くは創造的な仕事は出来ても、消費者にその良さを伝えるスキルを持ち合わせていないケースが大半であるという事です。これはとても自然な事ではあるのですが、伝えたい情報が正確に伝わるとは限らないのがソーシャルメディアの特徴でもありますから、開発者も、ある程度消費者の求める所を理解しソーシャルネットワークにどのような情報を経由させるのが最良なのかを理解しておく必要があります。しかしながらこれは容易な事ではありません。今までは開発に専念していれば良かったのが、突然マーケティングセンスを求められても戸惑ってしまうのは当然ですから。

App Storeの場合は、アプリ開発者はアプリ購入者のみに許される感想(フィードバック)によってアプリの質を改善してゆけるという、消費者と開発者の相互関係で成り立っていますから、この相互関係が活発にならないと当然App Store自体も競争力が低下します。

115円戦略(最初はギリギリの低コストで提供する)をとっている個人開発者や、競合が多いカテゴリーに属するアプリを開発している企業にとっては、全アプリ20~30%OFFのインパクトはやはりかなり大きいようです(※115円アプリは有料のトップ200アプリのうちおよそ50%以上)。
今後は、無料アプリ(収益のプラットフォーム)を提供することでアプリ内課金を取り入れる企業も大分増えてくる事でしょうし、ライト版・お試し版といった方法でマネタイズ化を進めるやり方も増えてくるでしょう。

開発コストとのせめぎ合いはまだまだ続くでしょうが、App Storeを今以上に盤石にしたいAppleがこれ以上単価を引き下げるというような事はドル安が進行してもやらないとは思います。ただいずれにせよ、そろそろ「だれが開発すべきか?」という疑問には皆が真剣に目を向け始める頃だろうということはだれの目にも明らかですが。

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副業的作成したアプリをに気軽に公開でき、もしかして一攫千金!?というのがアプリ開発の醍醐味だと言われてきました。
しかし、この度のAppleのプライスダウンによる品質向上圧力と戦わねば利益が得られなくなってきます。Appleもこれによってアプリ承認のためのコストを抑えられるでしょう。しかしアプリ承認のない、Android(アンドロイド)プラットフォームにおいて自由に色々なチャレンジアプリを生み出している状況とその問題に真っ向から戦いを挑むAppleの姿勢は少々攻撃的で、一歩間違えば土台が揺れ動きます。

こういった様々な問題への対処はどのように考えているのか、「得るは難し、失うは易し」。
これが今回のプライスダウンの大きな懸念点です。

とはいえ今までのAppleの快進撃と戦略性の高さを見れば、いやがおうにも期待してしまうところはあります。
開発者も消費者もみなが笑えるような状況がもうすでに見えていると…。
Appleの壮大な思惑が見え隠れしますが、結局の所はやはり「お互いが大きくなるには、店先でモノを売っているだけではいけないね」という事です。
しかし、Appleは本当に秀逸なブレインが多くて素敵です。

皆さんも負けずにガンバリマショウ!

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