フリーミアムというビジネスモデルの未来はどうなる?

2011/08/08

最近よく質問を受けるようになってきたのでiPhone関連の趣味全開なエントリーではなく(笑)、久々に本業に関するエントリーを少々。

サービス媒体としてのWEBサイトの運営において、フリーミアムというビジネスモデルが多く用いられるようになって久しいですね。
フリーミアムは言わばデパ地下の試食と同じで、無料サービスで集めたユーザーの一部に有料サービスを提供できて初めて成り立つビジネスモデルです。多くのクラウドサービスもこのフリーミアムのモデルを踏襲していると言えます。

集客のキーワードは当然「無料」です。

ではまず、今のIT業界の潮流によって重要度が変化してきている「集客」から書いてみます。

“媒体(WEBサイト)”のための集客のツールはメルマガ、バナー広告、PPC広告、ブログ、SEOなどマス型訴求から始まって、ランキング、バズなどコンテンツ訴求へ、そしてソーシャルメディアを活用したセグメント訴求といったものを活用するのが一般的です。こういった集客ツールは、戦略性とコスト性のバランスで取り入れ成功に導きますが、一方で「受動性と能動性をどう扱うか」という部分をしっかり取り決めていなくては集客ツール活用における成功は難しいものになります。受身で情報を得る人にコストを大量に投下して集客の網を投げるのか、自発的に情報を得る人に戦略をあてて集客の網をなげるのかという選択肢だけではなくて、これらをバラバラにして、再度バランスよく組み込んで高精度の戦略を組まなくてはなりません。

TwitterやFacebook、そして過去どのSNSよりも急速にユーザー数を拡大していると言われるGoogle+といった「バーチャル的な信頼と信頼のネットワーク」が普及してくるにつれ、こういったネットワークを経由した集客手法が注目を集めます。これらは信用できる人のおススメはいい!という前提に立った集客手法であり、実社会の人間関係(リアルソーシャルグラフ)にも大きな影響を与えながら、効果的なマーケティングも可能になっています。

こういった潮流の方向転換と同時に、着目すべきキーワードが従来のものから変化してきています。
それは「集客中心」から「満足度中心」への変化です。

今までの集客手法はどれにしてもほぼ完全に「集める事だけ」に重きが置かれCRM(顧客管理)等も含めた総合的な顧客獲得手段ではありませんでした。これはインターネットの中での出来事はバーチャル内の出来事だという雰囲気があったからだとも言えます。ところがソーシャル化によってリアルな繋がりも取り込むことに成功したインターネットは、媒体の適正な評価がリアルさながらになされるようになってきました。つまりこれは、簡単に顧客を無視してしまえば次はもう無いという事を意味します。

この段階で「集客」に必要になってくるのは「ただ集めることよりも、満足度を兼ねた全体設計を敷設する事」です。これらを用意する事で、ソーシャルネットワーク上で「あのサイトいいよ」「あの会社気になるよね」「評判いいらしいよ」という集客トリガーが発生してた場合の顧客取りこぼしを避ける事が出来ます。

集客は集めるだけではなく虜(トリコ)にできなければ結果に繋がらない状況になってきているのです。

次にフリーミアムに見る、媒体のあるべき姿について書いてみます。

フリーミアムサイトはある程度のコンテンツを無料で利用することが出来ますから、
当然利用制限がかかっている有料コンテンツに関しては特に魅力を増加させるような仕組みや見せ方が研究されています。

では満足度を高めるコンテンツとはどんなものでしょうか。
端的に言えば、“ 顧客になってほしい人のような ” コンテンツである事です。
人は自分と似ている対象に対して、無条件に近いくらい親近感を抱きます。
これをどう捉えるかが最終的な結果を左右します。

これは顧客となってほしい人をどれだけ明確に定義しているか、
顧客となってほしい人がどのようなコンテンツを好むのかという理解を集約できている事が必要ですし、
集約できていなければコンテンツ構築は容易ではありません。

フリーミアムを取り入れている媒体の多くは、先行投資としてコンテンツを拡充させ、
外部サイト群の充足含め、SEO等で集客力をつけ見込み顧客の獲得機会を増やそうとします。
ところが、これが失敗すると、媒体の縮小や売却を余儀なくされるため、
ユーザー体験の減少のみならず企業の姿勢を見られる事になります。

しかしながら、こういったリスクを放置し、ある種の勢いでサイト構築が進んでいるのが現状です。
当然魅力あるテーマや分野にはこういったサイトが乱立しますから、
激しいユーザー奪取争いが発生し、不要なSEO競争や広告戦略を強いられ消耗戦となり多くは消えてゆきます。
最悪な場合、大手のサービス業者が参入してきて先駆者たちごと消えてゆきます。

結果としてユーザーは欲しい情報のバリエーションと出会う機会を失い、
検索結果に反映されるコンテンツの数も減る事で
自分で探すというよりは、友人知人に教えてもらうというソーシャルグラフに一層偏ってゆきます。
(情報を探すにあたって他人の力を期待する今の流れはこういった所にも起因したりします)

フリーミアムを取り入れている多くの媒体をみれば、媒体を理想的な形にするには、
コンテンツ満足度を高めながら持続的に運営できる事業計画を持って運営すべきであり、
アイディアベースで闇雲に事業化すべきではないと言えます。

最後に僕がフリーミアムの次にみているモデル・ビジネスについて。

フリーミアムという概念にのっとったビジネスモデルは多数生まれました。
しかしながら結果として残った本流は本質的にユーザーの要望に即したコンテンツは多くなくて、
むしろユーザーが求めるであろうコンテンツをスキームに載せただけという傾向がみてとれます。
マーケティングが得意ではない日本が浮き出ている様子と言ってもおかしくはないでしょう。
(ここは制作も、提案も含めて、日本のIT業界の問題だと感じてます)

そのため、あえてフリーミアムを取り入れずに
最初から魅力あるコンテンツを有料提供するという「斬新な」プロジェクトも増えてきています。

では、将来のWEBビジネスはどうでしょうか。

僕はフリーミアムモデルはプロジェクトの主流ではなくなり、
集客やSEOに役立つテーマサイトの一つになるだろうと考えています。
CMS(コンテンツマネジメントシステム)など、技術面での導入難易度が大きく下がっている背景もありますが、
より効率的な収益モデルの兆しに気付く人が増えてきていると言う事です。

Apple Storeの成功をフリーミアムの次だと捉える方もいらっしゃいますが、僕から見るとAppleの戦略はフリーミアムの応用と積極的な顧客の囲い込みが功を奏した形であり、特定の極めて難し条件をクリアしたプレーヤーのみが扱えるものかと感じます。
個人的により面白い展開が見込めるものとして注目しているのはアスクドクターズのような情報信頼度が満足度の可否を分けるカテゴリーに絞り込むコンテンツ提供、そして「リアルにコストをかけているものからのWEBへのシフト」と「リアルにもシフト可能なWEBサービスへのコスト」が成せるWEBビジネスです。

次を見据えて、必要な手段を必要に応じて使いながら、
設定する成功ラインへ進み、そして導く事ができればと考えています。

Leave a Comment